あまりないかもしれませんが,TeX で繁分数を書く時に括弧をつけると上下のバランスが悪くなってしまうことがあるかと思います.
↓こんな感じ
これを↓こんな感じにしたいと思います.
ちなみに,この式は CodeIQ:連分数の足し算 から拝借しました
1. 繁分数と連分数の違い
そもそも,繁分数と似た文脈で連分数というものがあると思いますが,どう違うのかをまずおさらいしておきます.
- 繁分数: 分母または分子に分数が含まれている分数
- 連分数: 分母に分数が含まれている分数
となります.
したがって,連分数は繁分数の一種ということになります.
よって,今回は一般化して繁分数について話したいと思います.
2. TeX で繁分数を書くには
普通の分数を数式モードで書くには \dfrac{分子}{分母}
のコマンドを使えばいいので,これを繰り返し使えば繁分数も書けます.
括弧の大きさを中身の大きさに合わせるには \left( \right)
のように \left
と \right
を括弧の前につけてあげてください.
先程の数式は以下のように書けます.
\begin{align}
\left( 7 + \dfrac{1}{3 + \dfrac{1}{5 + \dfrac{1}{9}}} \right)
+ \left( 4 + \dfrac{1}{6 + \dfrac{1}{8}} \right)
= \left( 11 + \dfrac{1}{2 + \dfrac{1}{10}} \right)
\end{align}
この出力は以下のようになってしまって,括弧がカッコ悪くなってしまいます…
3. 綺麗な括弧にするには
\left
と \right
ではおそらく一段目の分数の真ん中の線がちょうど真ん中に来るように括弧をつける仕様になっていると考えられるので,直接 \dfrac
を括弧で囲ってしまうとうまくいきません.
そこで,\dfrac
を array 環境で囲ってしまえば,中身の大きさに合わせて括弧をつけてくれるので,綺麗な括弧にすることができます.
いちいちこれを書くのは面倒なので,コマンドとして設定してしまいましょう.
\documentclass
と \begin{document}
の間で \newcommand
を使って新しいコマンドを設定できます.
例えば以下のように設定しておきます.
\newcommand{\ebrak}[1]{\left( \begin{array}{@{}c@{}} {#1} \end{array} \right)}
これを使えば,先程の数式は以下のように書けます.
\begin{align}
\ebrak{7 + \dfrac{1}{3 + \dfrac{1}{5 + \dfrac{1}{9}}}}
+ \ebrak{4 + \dfrac{1}{6 + \dfrac{1}{8}}}
= \ebrak{11 + \dfrac{1}{2 + \dfrac{1}{10}}}
\end{align}
こうすれば,以下のようになって,括弧内の分数の高さと括弧の高さが一致して綺麗に括弧をつけられました
4. まとめ
普通の括弧意外にも \lfloor \rfloor
などの括弧にも使えますし,\sum
でも綺麗に括弧がつかないことがあるので,コマンドとして定義して使い回せばとても便利です.
TeX を使いこなして綺麗な括弧をつけましょう!