投稿用に論文を書いていると微妙にページ数をオーバーしてしまったりして,なんとかならないかなぁ…と悩んだ経験はないでしょうか?
大幅に減らすのなら内容を削るしかないですが,あと少しというときに使える小技を紹介したいと思います.
ただし,会議によってはリジェクトの対象となることがあるかもしれないので,使う場合は自己責任でお願いいたします.
1. 図の下の余白を減らす (推奨度: ★★★)
これはフォーマットの変更などには当たらず,意外と効果がある手法なのでおすすめです.
図を書いて中央揃えをするために以下のようにしていることがあるかと思います.
\begin{figure}[tbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=\linewidth,pagebox=mediabox]{path/to/img.pdf}
\caption{Hoge.}
\label{fig:hoge}
\end{center}
\end{figure}
このとき,\begin{center}
と \end{center}
で囲んでしまうことで,余計な領域が確保されてしまって,図の下に大きめの余白ができてしまいます.
そこで,以下のように \centering
を代わりに使うことで余白を減らすことができます.
\begin{figure}[tbp]
\centering
\includegraphics[width=\linewidth,pagebox=mediabox]{path/to/img.pdf}
\caption{Hoge.}
\label{fig:hoge}
\end{figure}
ちなみに,写真ではないような図を貼り付ける時はできるだけ PDF 形式にすることをおすすめします.(拡大縮小してもボケたりしないので)
2. 表を図として作って貼り付ける (推奨度: ★★☆)
これも表の作り方を指定されていることは少ないと思うので,便利な方法です.
LaTeX で表を書くよりも小さなスペースで貼り付けられることが多いと感じています.
ただ,LaTeX で書いていたものを図として作り直したり,少し編集したいときにいちいち図を作り直さないといけないので,少し面倒な部分はあるかもしれません.
ちなみに,図を作るためには draw.io というサービスがおすすめです.
無料ですし,罫線があるためパワポよりも綺麗な図が作りやすいのではないかと筆者は思っています.
3. 図を横長に作り直す (推奨度: ★★☆)
うまく横長に作り直すことができれば,スペースを節約できると思います.
また,横長の図にしておくと,図のボックスの中に文字を入れるときにフォントサイズを大きくしやすいので,みやすい図になります.
4. 図のサイズを縮小する (推奨度: ★☆☆)
図が見にくくなるので,あまりおすすめしませんが,背に腹はかえられないということで,なんとか小さくして収めるのもなしではないと思います.
5. アルゴリズムを図としてではなく,直接貼り付ける (推奨度: ★★☆)
アルゴリズムを図として貼り付けないといけない学会もあるかもしれないので要確認ですが,直接貼り付けることで余計な余白が減ってスペースが節約できます.
ただし,ページにうまく収まるサイズでなければフォーマットがかなり崩れたりすることがあるので,アルゴリズムを挿入する位置には注意してください.
6. 数式を図にして貼り付ける (推奨度: ★☆☆)
これはやっていいのかどうか少し微妙なラインだとは思いますが,一行にギリギリ収まらない数式や,一行になんとか収めないとうまく書けない数式の場合は図にして貼り付けると場所も節約できて,見栄えも良くなると思います.
フォントサイズはもちろん小さくなってしまいますが,図にせずにフォントサイズを小さくするとなぜか見栄えが悪くなってしまうことがあるので,図の方がおすすめです.
図の作り方は手前味噌ですが,以下の記事の 3. PDF をクロップしよう
の手順までを参考にするといいと思います.
貼り付ける時は以下のようにするとラベルもついていいと思います.
\begin{align}
\includegraphics[width=0.91\linewidth]{path/to/img.pdf}
\label{hoge}
\end{align}
width の値は適当に調整してください.
また,一行の数式だとラベルが真横につかないことが少し気になってしまうかもしれません.
7. 通常イントロに書く論文構成の説明を省く (推奨度: ★☆☆)
論文構成 (「次の段落では hoge の説明をして,その次の段落では fuga の説明をします.」というような文章) を省くのはよくないという意見ももちろんあるとは思いますが,少し読みやすくするためのもので特に短い論文では効果が薄いと考えているため,どうしても入り切らない場合はこの部分は抜いてしまっても構わないと思います.
8. 各段落の最後が微妙にはみ出している部分を探す (推奨度: ★★☆)
ギリギリ一行に収まらずにはみ出してしまった部分があれば,その段落の内容を読み直して,なんとか一行減らせないか考えてみるのが得策です.
もちろん意味が変化しないように,あまり重要ではない単語を抜いたり,長い単語を同じ意味の短い単語に置き換えることに挑戦してみてください.
英文添削などに出す場合は,添削内容によっても変わる可能性があるので,修正は最後に行いましょう.
9. 何度も出てくる長い用語の略語を定義する (推奨度: ★★☆)
論文で使っている長い単語 (例えば Gaussian Filter) は略語 (この場合 GF など) に直してあげましょう.
こうすることで,何度も使っている用語であればあるほど,文字数の節約になるでしょう.
略語が被ったり,わかりにくくならないように注意してください.
10. 行間を狭くする (推奨度: ★☆☆)
フォーマットを変えていることになるかもしれないので,あまりおすすめはしませんが,最終手段として使ってください.\documentclass
と \begin{document}
の間に,\renewcommand{\baselinestretch}{倍率}
と記述すると行間が調整できます.例えば,倍率の部分を 0.8 とすると行間が 0.8 倍 になります.
以下の記事を参照したので,詳しくはそちらをご覧ください.
11. まとめ
以上のように色々な方法を駆使してなんとかページ内に収められるように頑張ってください.